同じ挑戦でも、結果が分かれるのはなぜか
同じような能力、同じような状況にあるのに、果敢に挑戦して成果を出す人と、最初から「どうせ無理」と諦めてしまう人がいます。この差を生んでいるものの1つが「エフィカシー」です。
エフィカシーは、コーチングや心理学の分野で重視される概念で、私たちの行動や成果に大きな影響を与えます。この記事では、エフィカシーとは何か、自己肯定感とどう違うのか、そして社会人がエフィカシーを高めるための具体的な方法を解説します。
エフィカシーとは「ゴール達成能力への自己評価」
エフィカシー(efficacy)とは、簡単に言えば「自分のゴールを達成する能力に対する、自分自身の評価」のことです。「自分にはこれができる」と、どれだけ思えているか、その自己評価の高さを指します。
重要なのは、これが「他人からの評価」ではなく「自分による自分への評価」だという点です。エフィカシーが高い人は、たとえ周囲が「無理だ」と言っても、「自分ならできる」と信じてゴールに向かいます。逆にエフィカシーが低いと、客観的には十分な能力があっても、「自分にはできない」と感じて挑戦すらしません。つまりエフィカシーは、能力そのものではなく、能力を発揮できるかどうかを左右する、心のスイッチなのです。
自己肯定感とは何が違うのか
エフィカシーは「自己肯定感」と混同されがちですが、ニュアンスが違います。自己肯定感が「ありのままの自分を肯定的に受け入れる感覚」という、どちらかというと現在の自分全般に対する評価であるのに対し、エフィカシーは「特定のゴールを達成する能力」という、未来志向で目標に紐づいた自己評価です。
例えば「今の自分が好きだ」は自己肯定感に近く、「自分はこの目標を達成できる」はエフィカシーです。ゴールに向かって行動を起こす上で、より直接的に効いてくるのがエフィカシーです。そして嬉しいことに、エフィカシーは後天的に高めることができます。
高め方1:セルフトークを変える
エフィカシーを高める第一の方法が、セルフトーク(自分への語りかけ)を変えることです。人は1日に何万回も、無意識に自分自身に言葉をかけています。「自分はダメだ」「どうせ無理」というネガティブな言葉を繰り返していると、エフィカシーは下がっていきます。
そこで、意識的に肯定的な言葉に置き換えます。失敗した時も「自分はダメだ」ではなく「今回はうまくいかなかったが、次はできる」と言い換える。「自分にはできる」「自分はゴールにふさわしい」と、未来の自分を肯定する言葉を自分に語りかける。最初は嘘っぽく感じても、繰り返すうちに、その自己評価が少しずつ自分の中に根づいていきます。
高め方2:小さな成功体験を積む
第二の方法は、小さな成功体験を積み重ねることです。「自分にはできる」という感覚は、実際に「できた」という事実によって裏打ちされると、強く定着します。
いきなり大きな成功を狙う必要はありません。確実に達成できる小さな目標を設定し、それをクリアする経験を重ねるのです。例えば学び直しなら、「今日は問題集を1ページ進める」といった小さな目標でいい。それを達成するたびに「自分はやればできる」という実感が積み上がります。そして、数検合格のような客観的な成果を1つ得ると、エフィカシーは大きく跳ね上がります。長年苦手だったことを克服する経験は、特に強力です。
高め方3:「現状の外のゴール」を持つ
第三の方法は、現状の延長線上にない、心から望むゴールを持つことです。エフィカシーは「ゴール達成能力への自己評価」ですから、そもそも心が燃えるゴールがなければ、高めようがありません。
「今のままでは届かないが、本当はこうなりたい」というゴールを描き、「自分はそれを達成できる」と信じる。この組み合わせが、エフィカシーを引き上げ、行動を生みます。ゴールが明確であるほど、そこに向かう自分への評価も具体的になり、日々の学びや挑戦に意味が生まれます。
エフィカシーが下がる「環境」に気をつける
エフィカシーを高める方法と合わせて、エフィカシーを下げる要因にも気をつけたいところです。その大きな1つが「環境」、特に周囲の人からの言葉です。あなたの挑戦に対して「どうせ無理」「やめておけ」と否定的な言葉をかけてくる人が周りにいると、エフィカシーは知らず知らず削られていきます。
これを防ぐには、大切なゴールをむやみに公言しないこと、そして自分を肯定し応援してくれる人や環境に身を置くことです。人は環境の影響を強く受けるので、誰のそばにいるかは、自己評価に直結します。否定的な言葉から自分を守り、前向きな環境を選ぶ。これも、エフィカシーを高く保つための重要な戦略です。自分の可能性を信じてくれる人の近くにいることが、「自分にはできる」という感覚を育ててくれます。
まとめ──エフィカシーは、後から高められる
エフィカシーとは、自分のゴール達成能力に対する自己評価であり、挑戦するか諦めるかを左右する心のスイッチです。自己肯定感とは違い、未来の目標に紐づいた評価で、後天的に高められます。セルフトークを肯定的に変え、小さな成功体験を積み、現状の外のゴールを持つ。この3つで、「自分にはできる」と心から思える自分に近づいていけます。
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