「何を読めばいいか分からない」のは選び方の基準がないから
書店に行くと何十万冊の本が並び、Amazonで検索すれば星の数ほどのレビューが出てくる。「で、結局どれを読めばいいの?」──この状態に陥る社会人がとても多いですが、原因は明確で「本を選ぶ基準」を持っていないからです。
ベストセラーランキングを眺めて選ぶ、有名人のおすすめから選ぶ、書店で目についたものを手に取る──どれも悪くはありませんが、「他人の基準」に依存した選び方です。自分の中に確固たる選書基準を持てば、一生ブレることなく「読むべき本」を見つけられるようになります。
基準1:「源流」に近い本を優先する
世界にはこれまで1億冊以上の書籍が出版されていますが、知識という観点でその源流を辿ると、実は約100人の著者、約100冊の”源流”になる本に行き着きます。聖書、コーラン、仏典、マルクスの『資本論』、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』──これらは過去に世界を大きく変え、現在にまで影響を及ぼしている超骨太の本ばかりです。
ビジネス書の大半は、こうした源流の本から流れ出た「下流」の水を汲んで、分かりやすく書き直したものです。下流の本を10冊読むより、源流の1冊を深く読む方が遥かに多くの知識を得られます。
では、どの本が「源流」なのか。以下の3冊のブックガイドが地図になります。
- 橋爪大三郎さんの『正しい本の読み方』──必ず読むべき大著者100人リストが掲載されている
- 佐藤優さんの『知の巨人が選んだ世界の名著200』
- 堀内勉さんの『読書大全』
この3冊を手に入れれば、「次に何を読むか」で迷うことはなくなります。
基準2:「抽象度が高い本」を選ぶ
世の中の情報の99.9%は、極めて抽象度の低い個別具体的な情報です。犬の種類でいえば「柴犬の太郎くんが今日散歩した」レベルの情報で、こうした情報をいくら集めても知識としての応用力は低いのです。
本を選ぶ時に意識すべきは「抽象度が高い本」を優先すること。抽象度の高い本とは、個別の事例ではなく「原理」や「構造」を語っている本のことです。1冊の抽象度の高い本は、具体的な本100冊分の情報量に匹敵します。ボウリングで例えるなら、1球ずつ1本のピンを倒すのではなく、1球で100本のピンを倒すイメージです。
具体的に見分ける方法としては、目次を見て「特定の事例紹介」が中心なのか「原理・法則の解説」が中心なのかを確認します。後者の方が抽象度が高い本です。
基準3:「今の自分に読める本」から始める
源流の本は抽象度が高いだけに、いきなり読むと挫折します。聖書や『資本論』を予備知識なしに読み始めても、1週間で積読の山に加わるだけです。
大切なのは「今の自分のレベルで読める本」から始めること。具体的には以下の順番です。
ステップ1:基礎学力を固める(国語力→数学→歴史→政治経済)。特に語彙力と読解力がないと、どんな良い本を選んでも内容が正確に読み取れません。
ステップ2:入門書で全体像をつかむ。各分野の新書や「分かりやすい○○」系の本でざっくりと全体像を把握します。
ステップ3:源流の名著に挑戦する。基礎学力と全体像があれば、以前は読めなかった本が驚くほどスムーズに読めるようになります。
「レビューの星の数」で本を選んではいけない
Amazonの星5つのレビューは信頼できるか。残念ながら、必ずしもそうとは限りません。レビューの星の数は「読みやすさ」や「分かりやすさ」と相関することが多く、「読者の人生を変えるほどの深い知識が書かれているか」とは別の軸です。
源流の名著には、正直「読みにくい」ものが少なくありません。しかしその「読みにくさ」の中に、下流の本100冊分の価値が詰まっています。レビューではなく、先ほど紹介したブックガイドを基準にするのが正解です。
本の選び方を含む「正しい読書法」を学ぶなら
エンリッチ実学院では、本の選び方だけでなく、選んだ本から最大限の知識を引き出す「正しい読書法」と、読書の質を支える基礎学力を体系的に学べます。おすすめ書籍一覧も公開していますので、「次に何を読むか」の指針としてぜひご活用ください。
