ビジネス書ばかり読む弊害|社会人が「下流の本」から抜け出すべき理由

ビジネス書を何冊読んでも、身についた気がしない

仕事に役立てようと、ビジネス書を何冊も読んでいる。読んでいる時は「なるほど」と思うのに、読み終わるとあまり記憶に残らず、似たような本をまた買ってしまう。そして、いくら読んでも、本質的に何かが身についた感じがしない──。こうした感覚を持つ社会人は少なくありません。

実は、これにはある理由があります。それは、ビジネス書ばかり読むことの弊害です。この記事では、ビジネス書ばかり読む問題点と、そこから抜け出して本物の教養を得るための読書について解説します。読書の質を一段上げたい方は、ぜひ参考にしてください。

多くのビジネス書は「下流の本」である

読書を「川の流れ」に例える考え方があります。源流にあたるのが、古典や原典といった「上流の本」。そこから派生し、内容を分かりやすく薄めたものが「下流の本」です。そして、世に多く出回るビジネス書の多くは、この「下流の本」に位置づけられます。

多くのビジネス書の内容は、実は古くからある古典や、本質的な原典の知恵を、現代風に、読みやすく薄めたものであることが少なくありません。源流の深い知恵を、手軽に飲めるように薄めた飲み物。それが下流の本のイメージです。もちろん、優れたビジネス書もありますが、玉石混交の中で、薄められた二番煎じも多く出回っているのが実情です。

弊害1:似たような内容の繰り返しになる

ビジネス書ばかり読む第一の弊害が、似たような内容を何度も読むことになる、という点です。下流の本は、元をたどれば同じ源流から派生していることが多いため、書いてあることが本質的に重なります。

表紙やタイトルは違っても、中身は「どこかで読んだような話」の繰り返し。だから、何冊読んでも新しい発見が少なく、「読んだ気はするのに身につかない」という感覚になるのです。次々と新しいビジネス書を買っても、同じ源流の薄めた水を飲み続けているだけ、ということが起こり得ます。

弊害2:思考が浅くなりがち

第二の弊害は、思考が浅くなりがちなことです。下流の本は、読みやすく分かりやすい反面、内容が単純化され、結論が分かりやすく提示されています。読者は、深く考えることなく「答え」を受け取れてしまう。

これは手軽で便利ですが、自分の頭で深く考える機会を奪います。本来、良い読書は、著者の複雑な思考をたどり、自分でも考えることで、思考力を鍛えるものです。答えだけが簡単に手に入る下流の本ばかりでは、この思考の訓練になりません。手軽さと引き換えに、考える力が育ちにくくなるのです。

「上流の本」に遡るべき理由

では、どうすればいいか。答えは、下流の本から、「上流の本」=古典や原典に遡ることです。なぜ上流が良いのか。理由は3つあります。

1つ目は、本質的で深い知恵が得られること。長い時間を生き残ってきた古典には、薄められていない、源流の深い知恵が詰まっています。2つ目は、思考力が鍛えられること。古典は読みごたえがあり、著者の深い思考をたどることで、自分の思考力も鍛えられます。3つ目は、応用が利くこと。本質的な原理を理解すれば、それを様々な場面に応用できます。下流の本100冊より、上流の本1冊をじっくり読む方が、得られるものは大きいのです。

とはいえ、いきなり古典は難しい

「上流が良いと言われても、古典はハードルが高い」と感じる人も多いでしょう。確かに、いきなり難解な古典に挑むと挫折します。そこでおすすめなのが、2つの工夫です。1つは、現代語訳や、信頼できる解説書から入ること。例えば論語なら、平易な現代語訳の入門書から始めれば、古典の知恵に無理なく触れられます。もう1つは、信頼できるブックガイドを地図にすること。『読書大全』(堀内勉 著)や『正しい本の読み方』(橋爪大三郎 著)、『読書の技法』(佐藤優 著)といった本は、どんな上流の本を、どう読めばいいかを案内してくれます。下流の本を入り口にしつつ、徐々に上流へ遡っていく。この姿勢が、読書の質を高めます。

ビジネス書を「上流への入り口」として使う

誤解のないように補足すると、ビジネス書をすべて否定しているわけではありません。優れたビジネス書もありますし、下流の本にも役割があります。大切なのは、下流の本に「留まらない」ことです。実は、下流の本を上流への入り口として使う、という賢い活用法があります。

ビジネス書を読んでいると、その中で古典や原典が引用・紹介されていることがよくあります。「この考え方は、〇〇という古典に基づいている」といった記述です。そこで興味を持ったら、引用元の上流の本に遡って読んでみるのです。下流の本は読みやすいので、難しい上流の本へのガイド役として優秀です。手軽なビジネス書で全体像をつかみ、そこで紹介された源流の本に進む。この流れを作れば、下流の手軽さと上流の深さの、両方の良いところを活かせます。ビジネス書を、ゴールではなく、より深い学びへの入り口として使いましょう。そうすれば、読書は着実に深まっていきます。

まとめ──下流に留まらず、上流へ遡る

ビジネス書ばかり読む弊害は、似た内容の繰り返しになり、思考が浅くなりがちなことです。多くのビジネス書は、古典の知恵を薄めた「下流の本」だからです。本物の教養と思考力を得るには、古典や原典という「上流の本」に遡ることが大切。現代語訳やブックガイドを活用しながら、源流の深い知恵に触れていきましょう。

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